症例プロフィール
避妊手術の目的
避妊手術は望まない妊娠を防ぐだけでなく、発情期のストレスの軽減や将来の病気の予防ができる手術です。当院では子供を産ませる予定がないのであれば実施することをお勧めしています。
避妊手術実施の時期
犬種や成長の程度にもよりますが、生後6ヶ月を超えると実施できます。
何歳になっても手術をすることで予防できる病気がたくさんありますが、乳腺腫瘍だけに限っては若齢期に手術をしないと予防の効果が無くなってしまいます。
そのため、犬では2歳まで/猫は1歳までに手術を実施することをお勧めしています。
犬の手術実施時期と予防できる確率
- 1回目の発情前:99.5%
- 1回目の発情後から2回目発情まで:92%
- 2回もしくは3回目発情後:74%
- それ以降:予防の効果無し
猫の手術実施時期と予防できる確率
- ~生後6ヶ月:91%
- 生後7~12ヶ月:86%
- 生後13~24ヶ月:11%
- それ以降:予防の効果無し
避妊手術をおこなうリスク
全身麻酔をかける手術ですので、100%安全なものだとは言えません。
ただ、しっかり手術前に準備や検査をおこなうことでリスクを最小限に出来るように心掛けています。一般的に若くて元気な子であれば99.9%問題無い手術だと言われています。
避妊手術を実施することのリスクより将来女性ホルモンが原因で起こる病気を発症するリスクの方が高いため避妊手術をすることをお勧めしています。
当院での避妊手術の流れ
- 手術は完全予約制です。事前に当院にご来院いただくかお電話で手術日の予約をとってください
- 手術前日の夜から絶食が必要です。水は来院直前まで与えていても構いません
- 手術当日は8時50分にご来院ください。獣医師の診察と手術の説明後、動物をお預かりし飼主様は一度帰宅していただきます。
- 午前中に手術前の検査(血液検査・画像検査)を実施します。検査結果次第では、手術が中止・延期になる場合があります。
- 12時00分~16時30分までが手術時間ですのでこの間のどこかで手術を実施します。当日の診療状況や他の手術との兼ね合いにより開始時間が決まります。
- 手術時間は40~50分が一般的ですが、大型犬などは少し長くなることがあります。
- 午後の診察時間内にお迎えにきていただきます。来院前にネットもしくはお電話にて順番予約をお取りください。
- 帰宅後は普段の半分ほどの食事を与えて構いません。散歩も短時間であれば構いません。
- 翌日からは基本的には普段の生活をしていただいで大丈夫ですが手術部位を舐めないように注意して下さい。また、過度な運動やシャンプーは控えてください。
- 手術した日の5~7日後に傷のチェックにご来院ください。
- 手術した日から10~14日後に抜糸して傷がしっかり治っていれば無事終了です。
手術の流れ
- 全身麻酔をかけて仰向けで手術を実施します。まず、被毛やゴミが手術部位に入らないように剃毛し消毒します。
- 剃毛部以外はキレイな布で覆います。
- 皮膚や腹筋を切開後、子宮や卵巣を体外に引っ張り出し、卵巣に付着する靭帯や血管を超音波メスで処理します。
- 左右の卵巣につながる靭帯や血管を分離したあと、左右に伸びた子宮を引っ張り出します。
- 子宮体部(子宮の付け根)の血管を処理することで子宮と卵巣を全て切除することが可能になります。
- 子宮と卵巣を全部摘出後、お腹の中の状態が問題無いか確認します。
- 切開した腹筋や皮下脂肪を時間が経つと溶けてなくなる糸で縫合します。
- 最後に皮膚の表面を縫合すると終了です。傷口を舐めてしまわないようにテープを貼り、手術部を保護するために術後服を着せます。
避妊手術後の注意事項
避妊手術後は女性ホルモンが分泌されなくなることにより基礎代謝量が低下します。また、食欲は増す傾向にあるので手術前と同じ食事を与えていると肥満になってしまいます。手術後は、避妊手術した子用の食事や体重管理を目的にした食事を選び、しっかりと体重管理をしてください。毎月自宅で体重を測定し、記録しておくことが体重の変化に気が付きやすくオススメです。