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2025.11.14

「肺高血圧症って、何が原因でなるの?」
「うちの子は心臓が悪いって言われたけど、それと関係あるの?」
「肺高血圧症にならないように予防できるの?」
このような疑問をお持ちの飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
肺高血圧症は、犬にとって決して珍しい病気ではありません。
肺高血圧症の多くは、何かしらの病気が背景にあって起こる「二次性肺高血圧症」です。
今回は、犬の肺高血圧症の原因となる疾患について、わかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の肺高血圧症についての知見を深めるきっかけにしてください。
犬の肺高血圧症とは、肺の血管(肺動脈)を流れる血圧が異常に高くなる状態です。
この圧力が高まることで、心臓の右側に負担がかかり、
などのリスクが生じます。
犬の肺高血圧症の多くは、ほかの病気が引き金になって起こる「二次性肺高血圧症」です。
つまり、肺高血圧症そのものが「原因」なのではなく、何かの病気の「結果」として現れる症状ということです。
では犬の肺高血圧症の主な原因疾患にはどのようなものがあるのでしょうか?
主なものを解説していきましょう。
犬の心臓病で最も多い僧帽弁閉鎖不全症は、肺高血圧症の最大の原因のひとつです。
僧帽弁閉鎖不全症では僧帽弁がうまく閉じなくなり、心臓の中で血液が逆流してしまいます。
そのため、肺の血管に余分な圧力がかかるようになり、肺血管が圧迫され肺高血圧が引き起こされるのです。
特に、僧帽弁閉鎖不全症が進行して心拡大や肺水腫が見られる段階では、肺高血圧症を併発している可能性が高くなります。
昔ほど多くはなくなりましたが、フィラリア症も肺高血圧症の原因として知られています。
フィラリア(犬糸状虫)は、蚊を媒介して感染する寄生虫です。
フィラリア症になると、フィラリアの成虫が心臓や肺動脈に寄生することで血流を阻害します。
この物理的な障害により、肺動脈の内圧が高まり肺高血圧症を引き起こします。
フィラリア未予防の犬や、予防歴が不十分な場合は注意が必要です。
また、フィラリア症は肺高血圧症を引き起こす原因疾患の中で唯一予防ができる病気でもあります。
毎年のフィラリア予防を忘れずに行いましょう。
慢性気管支炎や肺の病気でも肺高血圧症が引き起こされます。
呼吸器疾患によって肺の酸素交換がうまくできなくなると、肺の血管が収縮し、血圧が上がります。
とくに以下のような病気には注意が必要です。
これらの病気によって、酸素不足(低酸素血症)が起こることで肺高血圧症につながります。
肺の血管に血のかたまり(血栓)が詰まる「肺血栓塞栓症」なども、急激な肺高血圧症の原因です。
肺血栓塞栓症による肺高血圧症は、肺の血管が詰まってしまうことで、肺に血液が流れづらくなることで起こります。
肺高血圧症は多くの場合、心臓病や呼吸器疾患にともなって起こりますが、免疫疾患や腫瘍、外傷などが引き金になるケースもまれにあります。
たとえば、重度の外傷で肺にダメージを受けたあとや、肺に腫瘍ができて血流が妨げられた場合などです。
発生頻度は高くありませんが、原因不明の肺高血圧症の裏にこうした病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。

肺高血圧症の治療は、「肺高血圧そのもの」を抑えるだけでなく、原因となっている病気に合わせた治療が必要です。
たとえば
このように、それぞれの原因疾患によって治療が異なります。
そのため「なぜ肺高血圧が起こっているのか?」を正しく見極めることが治療の第一歩です。
肺高血圧症は完全に予防することは難しい病気です。
しかし、原因となる病気を早めに見つけて対処することで、発症や進行を防ぐことは可能です。
たとえば
これらの病気は定期的な健康診断や画像検査によって早期に発見することができます。
とくにシニア期の犬や心雑音があると言われた子は、年に1〜2回の心臓検査(エコー・レントゲン)を受けておくと安心ですね。

肺高血圧症は、それ自体が突然起こる病気ではありません。
多くの場合、心臓病や呼吸器疾患などの原因疾患が背景にあります。
咳が続く、疲れやすいなどの何気ない変化が、心臓や肺からのSOSであることもあります。
当院では、肺高血圧症の診断・内科管理はもちろん、原因となる心臓病・呼吸器疾患の検査とケアにも力を入れています。
気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。
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