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2025.11.07

「僧帽弁閉鎖不全症って、うちの子はどのくらい進んでるの?」
「ステージB2って言われたけど、それってどういう意味?」
「ステージごとに治療法って変わるの?」
心臓の病気に「ステージ」という分類があると聞いて、かえって不安になってしまった飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
僧帽弁閉鎖不全症は、犬で非常に多く見られる心臓の病気です。
「今どの段階なのか」「どのくらい進んでいるのか」を把握することが、治療のタイミングや内容のためにとても重要になります。
今回は、僧帽弁閉鎖不全症のステージ分類についてできるだけわかりやすくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の愛犬の状態を知って適切なケアにつなげるきっかけにしてください。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左側にある「僧帽弁」という弁がうまく閉まらなくなることで血液が逆流してしまう病気です。
その結果、心臓に余分な負担がかかり徐々に心臓の機能が弱ってしまいます。
僧帽弁閉鎖不全症は特に中高齢の小型犬でよく見られる病気です。
代表的な犬種には以下のような犬がいます。
僧帽弁閉鎖不全症は初期は無症状のことも多くあります。
進行とともに症状が出始めるため、症状と心臓の状態をみてステージ分類が決められています。
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、進行の度合いによって4段階に分けられています。
これは「ACVIM分類」と呼ばれるもので、世界中の動物病院で広く使われる分類です。
それぞれのステージによって治療の考え方や生活での注意点が異なります。
詳しく解説していきましょう。
僧帽弁閉鎖不全症のステージAではまだ心雑音や症状はなく、検査でも異常は見られません。
ただし、「僧帽弁閉鎖不全症になりやすい体質・犬種」がここに分類されます。
そのため、将来的に発症する可能性が高い状態ですね。
とくにキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは若いうちから僧帽弁の変性が始まることもあるため、1年に1回程度の定期検診がおすすめです。
僧帽弁閉鎖不全症のステージB1では、聴診で心雑音が確認されはじめます。
レントゲンや心エコー検査では心臓の大きさや形には大きな変化が見られません。
つまり、病気は始まっているけれどまだ心臓に負担がかかり始めたばかりの時期ということですね。
この時期にできることとしては
などがあります。
このステージでは、基本的に薬は使わず経過を見守ることが多いです。
ただ、進行具合によっては短期間で次のステージに進むこともあるため、定期検診は欠かさないようにしましょう。
僧帽弁閉鎖不全症のステージB2では、レントゲンやエコーで心臓の拡大(心肥大)が確認されます。
ただし、まだ目立った症状(咳や息切れなど)はないことが多く一見元気そうに見えることも。
元気そうに見えるからといって油断は禁物です。
この時期こそが治療を始める大事なタイミングです。
ステージB2では心臓の負担を減らすために、薬が処方されることがあります。
よく使われる薬は
などです。
これらの薬は症状を出にくくしたり、心不全への進行を遅らせる効果があるとされています。
このステージで飼い主様が意識したいことは
などですね。
ステージCでは、以下のような心不全の症状が見られるようになります。
症状がひどい場合は「肺水腫」という状態になり、呼吸困難を起こすこともあります。
肺水腫は動物病院での入院治療や、酸素吸入が必要になるケースもある重篤な状態です。
薬の量を調整したり、利尿剤を使って余分な水分を排出させたりと、より細かく内科的な治療が行われます。
定期的な通院はもちろん、急変する可能性に備えてよく犬の様子を観察するようにしましょう。
ステージDは心不全が進行し、通常の治療では症状のコントロールが難しくなる状態です。
薬の種類や量を増やしても咳や呼吸困難が改善しない場合は、在宅酸素や点滴によるサポートが必要になることもあります。
この時期には、「少しでも穏やかに過ごす」ことを目標に、生活の質を保つケアが大切になります。

| ステージ | 状態の目安 | 主な対応 |
|---|---|---|
| A | 発症リスクあり | 定期検診、予防的ケア |
| B1 | 心雑音のみ | 経過観察、生活管理 |
| B2 | 心拡大あり | 内服治療の開始 |
| C | 症状あり | 薬の調整・酸素管理 |
| D | 重度・治療抵抗性 | 緩和ケア、在宅管理 |

僧帽弁閉鎖不全症は、早めに見つけて、適切に管理していくことが何より大切です。
「まだ大丈夫」と思っていても、心臓は知らないうちに疲れていることもあります。
今どのステージにあるのかを知ることで、どんな治療をすべきか何に気をつけて生活すればいいかが、ぐっと明確になりますね。
当院では、内科的な心臓病の管理にも力を入れています。
検診や心臓のご相談は、どうぞお気軽にご相談ください。
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