2024.10.11

つむら通信

2024年秋冬号(詳しく知ろうシリーズ 心臓)

診療費改定のお知らせ

平素よりつむら動物病院をご利用いただき、心より感謝申し上げます。 変わらず続く物価の高騰により、当院におきましても薬剤や医療機器の費用、その他諸経費の上昇があり、現行のままでは良質な獣医療の提供が困難となりました。 つきましては、2024年10月1日より診療費改定をさせていただきます。 スタッフ一同、より良い獣医療の提供とサービスの向上に努めてまいりますので、何卒この度の改定にご理解とご協力を頂ければ幸いです。 今後ともつむら動物病院をよろしくお願いいたします。


つむら動物病院 院長 津村 文彰


[ 特集 ]詳しく知ろうシリーズ 心臓

今回から新しく「詳しく知ろうシリーズ」として皆さんに犬や猫の体の臓器について詳しく知っていただけるように紹介していきます。第1回目は「心臓」についての紹介です。心臓は、寝ている時や活発に動いている時など、どんな時でも休むことなく、24時間働き続けてくれています。また全身に血液を運ぶとても大切な臓器であり、この働きが低下すると命にかかわる場合があります。ペットの高齢化によって犬の死亡要因の2位、猫の4位に心臓病が挙げられているようにとても怖い病気なので、細かな変化に気づき早期発見に繋げましょう。


心臓の働き

犬や猫の心臓は、人と同じく4つの部屋に分かれています。また心臓は筋肉(心筋)でできており、筋肉が伸びたり縮んだりすることで血液を送り出しています。酸素や栄養などが含まれる血液を全身に運び、不要な二酸化炭素などが含まれた血液を肺に送るといった血液循環を担うポンプの働きをしています。体の筋肉はすべて脳の命令で動いていますが、心臓の場合は脳とは関係なく、心臓の中にある特有の仕組みによって筋肉の収縮運動が行われています。
肺でたくさん酸素を取り込んだ血液は、肺静脈→左心房→左心室→大動脈と進み、全身に送られます。全身を巡った血液は、大静脈→右心房→右心室→肺動脈と進み、再び肺に運ばれます。心臓の部屋や血管の間にある〝弁〞が存在することで、血液が逆流しないようにします。また心拍数は聴診器で心臓の鼓動を聴いたり、太ももの内側にある股動脈を触って測ります。

心臓の位置と大きさ

心臓の位置は、動物の左腕を曲げ、体に近づけた時に人でいう〝肘〞が当たる胸の位置に心臓があると言われています。人の心臓の大きさは、その人の握りこぶしくらいの大きさで、体の大きさに合わせて心臓の大きさも変わるといわれています。犬は体格によりゴルフボールからソフトボールぐらいの大きさ、猫はゴルフボールくらいの大きさとされています。

犬の心臓病

犬にもっとも多くみられる心臓病といえば「僧帽弁閉鎖不全症」です。今までにも犬と暮らしたことがある飼い主様の中にはこの病名を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、僧帽弁閉鎖不全症について解説していきます。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症はあらゆる犬種に発生する可能性がある後天性の心臓病です。
通常、心臓が収縮して血液を全身に送り出すとき、左心房と左心室の間に存在する「僧帽弁」と呼ばれる弁が閉じることで血液の進路とは逆の方向に流れていかないようにしています。しかし歳をとるにつれて、僧帽弁が変性して肥厚することによって完全に閉まらず、心臓が収縮するとき全身に流れる血液の一部が弁の隙間から左心房内に逆流している状態のことをいいます。
進行すると、肺に水が溜まり「肺水腫」という命に関わる呼吸不全(咳が増えたり、呼吸回数が多くなるなど)の症状が出ます。これは短期間で死亡する可能性がある非常に危険な状態です。


その他心臓病

動脈管開存症

胎児のときに大動脈と肺動脈をつなぐ役割をしている動脈管が、生まれた後でも残ってしまう先天性の心臓病です。閉鎖するはずの動脈管が閉鎖しないため、心臓から全身に送られる血流の流れが悪くなります。


なりやすい犬種
ミニチュアダックスフンド、トイプードル、ポメラニアン、ヨークシャテリア、マルチーズ、ボーダーコリー、シェルティーなど


拡張型心筋症

心室の壁が薄く伸びることにより心室内腔が拡張してしまう病気です。犬がこの病気にかかると、心室の壁が薄く伸びてしまうことにより、心臓のポンプ機能が低下し全身にうまく血液が送れなくなってしまいます。


なりやすい犬種
ドーベルマン、ボクサー、グレートデン、ダルメシアン、アイリッシュウルフハウンド、コッカーなど


「散歩の途中で座り込む」「寝ている時間が長くなる」「食欲が落ちる」「カッカッという咳をする」のは単純に老化だけが原因ではないかもしれません。ちょっとした変化にも気づき早めに受診してください。


猫の心臓病

猫の心臓病は「心筋症」と呼ばれる、心臓に機能障害を引き起こす心筋の病気を多く発症します。
その中でも一番多くみられる肥大型心筋症について解説していきます。

肥大型心筋症

心臓の筋肉の壁が厚くなり、心室が十分に広がらなくなって全身へ血液を上手く送ることができない状態(血液の循環不全)になる病気です。進行すると肺や胸に水がたまり重度の呼吸困難を起こしたり、後ろ足の動脈に血栓が詰まり下半身麻痺が発生する「血栓塞栓症」を発症することもあります。猫の心筋症は症状が出にくいので進行してから発見されるケースが多く、目立った症状が無いまま突然死することも少なくありません。見た目では健康でも約15%の猫が肥大型心筋症にかかっていたという報告もあり、とても高い有病率ですが心雑音は聴取されないこともしばしばあり、通常の身体検査で早期発見することは難しいことが多いです。また、メインクーンなど特定の種で発生が多いことなどから遺伝的素因が関与しているとも考えられていますが、日本猫での発生も多いです。


その他心臓病

拡張型心筋症

心筋が薄く伸びることで収縮力が弱くなり、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気です。数十年前まではアミノ酸の一種のタウリン欠乏によることがほとんどでしたが、現在は市販のキャットフードにタウリンが十分添加され、タウリン欠乏による発生は激減しています。そのため現在ではほとんどが原因不明と考えられています。


なりやすい猫種
アビシニアン、シャム


拘束型心筋症

心臓の内膜または心筋に繊維化が起きて硬くなり、心臓が上手く動かなくなる病気です。
血液循環の悪化で体に酸素が十分行き届かなくなって疲れやすくなるため、あまり動かなくなり食欲も低下します。はっきりとした原因はわかっておらず、なりやすい猫種も不明です。


心筋症は初期にはほとんど症状が出にくい病気のため飼い主様が気付きにくい病気のひとつです。元気なうちからエコー検査やレントゲン検査による心臓の検査を受け、早期発見・治療できるようにしておくことが安心です。

犬・猫共通の心臓病

フィラリア症

フィラリア症は別名「犬糸状虫症」と呼ばれ、一般的には犬が気を付けなければならない病気として知られています。じつはこのフィラリア症、猫にもかかる病気です。フィラリア症とは犬や猫、フェレットなどの多くの哺乳動物に、犬糸状虫(フィラリア)と呼ばれるそうめん状の寄生虫が心臓やその近くの血管に寄生することで、動物に色々な症状を引き起こす病気であり、このフィラリアは蚊によって運ばれてきます。


症状

感染初期のおもな症状としては無症状の場合もあります。

咳が出る、呼吸困難、動きたがらない、お腹がふくらむなど

咳が出る、嘔吐、食欲不振、動きたがらない、体重減少など

犬猫ともに重症の場合、死に至ります。

治療法

内科治療(少量寄生の場合)

数年間フィラリア予防薬を通年投与することでフィラリアが寿命で死滅するのを待ちます。

外科治療(多量寄生の場合)

心臓の中に寄生した成虫を手術で摘出します。心臓内に多くのフィラリア寄生がある場合に行われますが、リスクの高い手術です。


フィラリア症は猫でも要注意!!

フィラリアは主にイヌ科動物に寄生して生活するため、猫への感染は起こりにくいですが、全く感染しないというのではありません。過去のデータでは10頭に1頭以上がフィラリアの感染歴があるとされており、しかもその4割が完全室内飼育の猫だという報告がされています。猫がフィラリアに感染すると咳や呼吸困難を引き起こしたり、場合によっては突然死します。そもそも猫のフィラリア症は、検査や診断が難しい病気なので感染しないようにしっかり予防することが大切です。予防方法は背中に薬を垂らすだけなのでお家で簡単に予防できます。


フィラリア症にかかってしまうと亡くなるリスクもある怖い病気です。毎月1回の予防薬を投与するだけでフィラリア症を予防できるので、犬も猫も毎年5月~12月までしっかり予防しましょう。

心臓病の検査方法

1.問診、身体検査
心臓病になると息苦しい、咳をする、倒れる、運動しなくなった、お腹が張るなどの症状が出ることがあります。問診により心疾患の徴候がないかをお伺いします。聴診や粘膜の色、呼吸の状態などをよく診て、緊急性などを判断します。

2.レントゲン検査
心臓や血管の大きさを判断し、心臓の異常や重症度を評価します。また咳の症状は心臓以外の呼吸器疾患が原因である場合もありますので、呼吸器の病気などをお持ちでないか調べます。

3.エコー検査(超音波検査)
心臓の中にある心房や心室の大きさ、弁や筋肉に異常がないかを調べます。また異常な血流を認めた場合、血流の速度を計測することで、重症度の評価や治療方針の選択に役立ちます。その他、心臓の機能を評価することで、診断・治療方針を組み立てていきます。

4.血液検査
心臓は様々な臓器に血液を送る役割があるため、他の臓器の疾患と関連する場合があります。血液検査により、心疾患以外の病気の検出や、心臓病の治療薬による腎臓やミネラルの変化が生じていないかを調べます。

5.心電図検査
心臓の脈に問題がないかを確認します。


6.血圧測定
高血圧や低血圧になっていないかを確認し治療薬の選択に役立てます。

おわりに

今回は心臓の働きや病気についてまとめてみました。心臓は生きる上でとても重要な臓器でしたね。それなのに心臓病は予防できるものではなく、なってしまうとほとんどが治らない病気のためうまく付き合っていくしかありません。犬も猫も初期の段階ではあまり症状が出ず、気づきにくいことも多いので些細な事でも気になることがあれば早めに受診してください。一緒にいられる時間が長くなるように、早期発見・治療することが大切です。また今後も詳しく知ろうシリーズとして他の臓器や病気などについてもいろいろお伝えしていくのでお楽しみに!


秋の健康診断を受けましょう

期間限定:10/1(火)〜11/30(土)

元気なうちから全身の健康データを蓄積しましょう

異常が見つからなかった場合でも、健康な時のデータを蓄積することが大切です。
集めたデータに変化が出てきたら、いち早く精密検査を行い病気の早期発見につなげたり、食生活や生活環境の見直しを始めることができます。 0歳から年に1回の健康診断を受けることをお勧めします。

7歳以上の子には年に2回の健康診断を推奨しています

半年に1回の健康診断というと、多いんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ワンちゃん、ネコちゃんは人間の4倍以上のスピードで年をとります。いつまでも子供のように見える子でも7歳になると人間の年齢に換算すると40歳から50歳くらいになってしまっています。病気の早期発見・早期治療のために7歳以上になると半年に1回健康診断をしていただくことをお勧めしています。


尿と便を持ってくる方法

Q.尿はどうやって持っていったらいいの?

尿は検査当日のものをペットシーツを裏返しにして取ったり、排尿中の尿をお皿などに採った後、液体のまま何かの容器に入れて持ってきてください。 詳しい採尿方法は下のQRコードをご確認下さい。

Q.便はどうやって持っていったらいいの?

便は検査当日のものを親指の爪くらいの量で構いませんのでビニール袋やプラスチック容器に入れて持ってきてください。

STAFF紹介

第11回目はどんなことでも真面目に取り組む愛玩動物看護師 金野さんです。

Q&A〜いろいろ質問しました!〜

愛玩動物看護師 金野 実乃莉

・動物占い:コアラ

『控えめで温厚な昔ながらの日本女性』
穏やかな人間関係を望んでいるため、争いごとを好まず、深入りしすぎたり距離を空けすぎたりすることなくうまく付き合っていけるタイプ。現実主義である一方で直感力や美的センスにも優れた大変ロマンチストな一面もある。

星座は?

さそり座

出身校は?(高校、大学、専門)

帝塚山学院泉ケ丘高等学校、日本獣医生命科学大学 獣医保健看護学科

連休は何してる?

動画サイトで韓国ドラマを見ている

おすすめの映画は?

グレイテストショーマン

経験したバイトは?

パン屋さん

昔のニックネームは?

きんちゃん

生まれ変わったら何になる?

人気3番手くらいのアイドル

自分の性格を一言で?

マイペース

子供のころの夢は?

パティシエ

今後の夢は?

バイリンガルになる

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