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2025.12.14

愛犬が肺高血圧症と診断され、
「この病気はどれくらい命に関わるのか」
「今の状態であとどれくらい一緒にいられるのか」
「突然亡くなってしまわないか」
と不安に感じている飼い主様も多いと思います。
獣医師から余命の話を聞いて気持ちが追いつかず、頭の中が不安でいっぱいかもしれません。
犬の肺高血圧症の余命は、一律に「何か月です」と言い切れるものではありません。
原因となっている病気や重症度などによって、その子の経過は大きく変わります。
この記事では、犬の肺高血圧症で報告されている余命の目安を紹介しながら、余命の考え方についても触れていきます。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の状態や今後について獣医師と話し合う際の参考にしていただければ幸いです。

犬の肺高血圧症について調べている飼い主様にとって、「結局どのくらい生きられるのか」はとても気になるポイントだと思います。
ここでは、研究で報告されている数字を紹介しつつ、それをどう捉えればよいかについてお話しします。
犬の肺高血圧症の余命(生存期間)について、それぞれの研究ごとの結果を表にまとめると次のようになります。
| 背景となる病気・条件 | 生存期間の目安(中央値) | 特徴 |
| 重度の肺高血圧症のみを集めたグループ | 数日〜数十日 | 診断時点でかなり進行しているケースが多く、予後は厳しい傾向 |
| 肺高血圧症に対しシルデナフィル(薬)を投与したグループ | 数か月程度 | 最長では約2年近く生存した犬も報告されている |
| 進行した僧帽弁閉鎖不全症に肺高血圧症を併発したグループ | 約1年 | 肺高血圧症がない場合よりは短いが、一定期間の安定が期待できるグループ |
| 慢性気管支炎など呼吸器疾患が原因のグループ | 約9か月前後 | 肺動脈圧が高いほど生存期間が短くなる傾向がある |
このように、
という形で、肺高血圧症の余命には大きな幅があることが分かります。
研究では、犬たちを条件ごとのグループに分けて「このグループではどのくらい生きたか」を調べていますが、その数字はあくまでグループ全体の傾向です。
年齢や生活環境などが一頭ずつ違うため、「平均〇か月」という値をそのまま愛犬の余命に当てはめることはできません。
研究でわかる余命の数字は、肺高血圧症の犬全体としてどのくらいの幅があるかを知るための材料として使いましょう。
厳しい数字だけを見ると飼い主様の不安が強くなってしまいますが、大切なのは、
という視点で、獣医師と相談していくことがおすすめです。

犬の肺高血圧症の余命に関する研究データからもわかる通り、予測される余命は一頭ずつ大きく異なります。
肺高血圧症と診断される犬の背景がさまざまだからです。
ここでは、とくに影響が大きいと考えられるポイントをお伝えします。
原因疾患と重症度
肺高血圧症の主な原因が、
によって、病気の進み方や選べる治療が異なります。
見つかった時点で軽い段階なのか、すでに強い呼吸困難や失神が出ているのかも、余命判断に大きく影響します。
咳や息切れがまだ軽いうちに受診し、早めに治療を始められた場合は、安定した時期を長く保てる可能性があります。
かなり進んでからの治療開始では、どうしても慎重な見通しになります。
若くて大きな持病がない犬と、高齢で腎臓病やホルモン疾患などを抱えている犬とでは、同じ治療でも体力や回復力が違います。
暑さや寒さ、激しい運動の多さなど生活環境も負担に関わるため、無理をさせない環境づくりが重要です。
このように、肺高血圧症の余命は、病名だけで決まるものではありません。
さまざまな要因を総合的に見ながら、獣医師と一緒にその子なりにどのようなゴールを目指せるかを考えていくことが大切です。
犬の肺高血圧症は、心臓や肺の病気などさまざまな原因が重なって起こり、進行すると呼吸困難や失神など命に関わる症状につながることがある病気です。
一方で、余命は一律に決まるものではなく、犬のさまざまな背景によって大きく変わります。
愛犬の状態や治療への反応を獣医師と共有しながら、「どの程度の安定した時間を目指せそうか」「日常生活でどんな工夫ができるか」を一緒に考えていくことがおすすめです。
当院は循環器診療に力を入れております。
肺高血圧症と診断された、または疑いがあると言われてご不安なことがあれば、ひとりで抱え込まずにいつでも当院にご相談ください。
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