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2024.03.07
眼の働きは、目の前にある情報を眼の中を通して奥にある網膜へと届けることです。網膜へとやってきた情報はさらに奥の神経を介して、脳へと送られます。
動物はその送られてきた情報を脳によって認識し、視覚を得ることができます。つまり眼に異常があると、脳へ情報が正しく送られない場合があり、視覚に影響があることもあります。
眼の病気は人と似ているものも多く、白内障は人でもワンちゃん、ネコちゃんでも聞いたことがある病気ではないでしょうか。白内障とは水晶体の蛋白が濁ることです。水晶体はほぼ透明でレンズのような役割をしており、光が水晶体で屈折し、きちんと眼の奥の網膜に届ける働きをしています。この水晶体が白く混濁すると、進行するにつれて犬猫の視覚に影響が出ます。
白内障は猫よりも犬でよく見られる病気です。
犬の白内障の多くは遺伝、他にも加齢、代謝、外傷などが原因として挙げられます。また、糖尿病を患った犬は水晶体内の代謝が正常に行われずに、白内障になることが多いです。(糖尿病性白内障と言います)一方で、猫では糖尿病になっても白内障を発症することはほとんどなく、猫の白内障の最も一般的な原因はぶどう膜に炎症が起こる、ぶどう膜炎であるとされています。1)
白内障とは水晶体の蛋白が濁った状態になることで、徐々に進行していく病気です。初期の症状としては、今までできていたのにボールを見失うようになった、薄暗い場所を嫌がるようになった、急にびっくりするようになったなどの様子がみられます。
白内障は混濁の程度により4つに分類されます。
白内障のワンちゃん・ネコちゃんがどの程度見えているのか気になりませんか?
正常な見え方と比較すると、初発白内障、未熟白内障(初期・中期・後期)、成熟白内障の見え方は写真のようになイメージです。進行した未熟白内障や成熟白内障になると、ほとんどぼやけてしまっているのが分かりますね。
白内障を診断するにはスリットランプと呼ばれる、光を当てて眼の検査をする機械を主に使います。この機械を使って目の奥まで覗くことで水晶体の混濁や、その周囲の組織のチェックも行うことができます。初発白内障は外観上では分かりにくくしっかり検査することが必要です。
また、白内障と似ていて鑑別が必要なものに核硬化症と呼ばれる、水晶体の変化があります。
核硬化とは、水晶体の中心にある水晶体核の水分が減少し、凝縮して硬くなったものです。水晶体に入ってきた光の屈折が変化するため眼が青白く濁っているように見えるのが特徴です。ただ、核硬化症は加齢に伴って起こるものであり視覚に影響はないため、治療の必要はありません。
白内障を患うと、ぶどう膜炎(水晶体起因性ぶどう膜炎)を併発することがあります。
これは、水晶体の蛋白に関連して虹彩・毛様体・脈絡膜であるぶどう膜が炎症を起こした状態であり、 眼のショボショボ(羞明) 、結膜や虹彩の充血などが症状として見られます。これが生じると水晶体脱臼(水晶体の位置がずれる)や緑内障といった、さらなる病気につながる可能性があります。
白内障の治療は外科手術が必要です。超音波乳化吸引術という方法で濁った水晶体を取り除き、そこにレンズを入れ、視力が回復するように促します。
ただし、白内障の手術をした後に視力が回復するのは、網膜や眼の神経が正常に機能していることが必要です。そのため、手術の前に超音波検査や網膜電位図検査によってそれらに異常がないか調べておきます。
また、手術の麻酔や術後の合併症のリスクなども踏まえて総合的に判断し、手術を行うかどうかの選択をしていきます。
手術をしない場合、残念ながら白内障を治療する方法はありません。少しでも進行を遅らせるために点眼薬やサプリメント、炎症を抑える薬などを使用します。
白内障は内科的に治療する方法はありません。発症した場合、まだ初期の段階で進行していないのであれば、点眼薬やサプリメントを使ってなるべく進行を抑えることをおすすめします。
早期に発見することがとても大切なので、もしワンちゃんネコちゃんの眼のことで気になることがあれば些細なことでも相談してくださいね。
参考文献
*)VETS LINE記事から引用